物件選定の際、数字の計算や間取り、周辺環境は資料やマップなどで試算と確認が出来ます。
しかし遠方の場合、知らなかったエリア特有の慣習や特徴、客付けを取り巻く業者の考え方、管理会社はどこがいいのか等はやはり実際にヒアリングをするべきです。
今回はそんなヒアリングを行う上での心構えと何をどうな風にヒアリングすれば効率よく必要な情報を獲得できるかを解説します。
前提:ヒアリング可能かを確認
ヒアリングを行ってよいかどうかは念の為、紹介を受けた業者に確認を入れておいたほうが懸命です。
売主が物件を売却する理由はさまざまです。中には管理会社にも伝えていない場合も考えられます。
また、あなたが検討するということは数字の上でCFが見込めるということです。今の時代にまともにCFが見込める物件自体が少ないので、そういった情報を横から抜き取ろうとする行儀の悪い不動産業者も存在します。そういった情報を外部に漏れる事態を防ぐ意味合いで検討者によるヒアリングを断っている情報が稀に存在します。
※万が一ヒアリングすることを断られたらヒアリングで確認する内容を業者に確認してもらうのも一つの手です。
ヒアリングの心構え
ヒアリングを行って良いという確認を取ったらいよいよ、ヒアリングに取り組みます。
その前に、心構えを確認します。
まず、【ヒアリングに正解は無い】ということをご認識ください。
具体的なヒアリングで聞く項目は後述しておりますがこれはあくまで一般的な項目です。「この内容を確認しておけば絶対に大丈夫!」という事ではありません。
不動産はこの世に同じ物は存在しません。物件ごとの特徴、確認する項目は際限がありません。では、どういった心構えで臨めばいいかというと、、、
あなたが【満室で経営するイメージが出来る】です。
物件に関して空室があるのであれば家賃を見直すのか、見直すとすればエリアの相場を確認しそれより下げるのか、もしくは駅から距離があるエリアで駐車場が戸数分ではなく追加で敷地外駐車場を探さないといけないのか、近隣の同じ間取りと同じターゲット層のライバル物件はどういった募集条件を出しているのか、そしてその物件は埋まっているのか、そもそもエリアの性格とターゲット層はあっているのか(閑静な住宅街に若者向け単身物件は不釣合いですよね。)、現状満室であればこの先も同じ条件、家賃設定で満室経営は可能なのか・・・・
挙げればキリがありませんがあなたが検討物件の満室経営に足りないところ、長所を理解し自分がオーナーになったときに
- この家賃設定で
- 空室のリフォームレベルはこのレベルで
- 設備はこれは不可欠なので導入して(例えば単身向けであれば入居者が無料で利用できるインターネット設備など)
- 管理会社はココに依頼し
- 広告料は家賃の○ヶ月分出す!
と具体的な募集条件と満室経営を維持できるとイメージが出来るまでヒアリングを行う。こう考えれば何を質問すればよいかはおのずと沸いてくるはずです。
ヒアリング先のピックアップ方法
さて、心構えが整えば次に出てくる疑問は「どこに聞けばいいんだ?」という所だと思います。
基本的にはインターネットで探せます。
【物件の最寄り駅 賃貸】と検索してみましょう。
SUMOやHOME’Sといった賃貸サイトで賃貸物件がいっぱい出てきます。どれでもいいです、物件の詳細情報をクリックします。
物件の詳細ページが出てきますのでページ内の【取り扱い不動産会社】や【取り扱い店舗】が記載されているところがあります。(大体は物件情報の後に出てきますので下のほうにスクロールすれば出てきます。)
そこに出ている会社や店舗に電話を掛けてヒアリングを行います。
ヒアリング先は2、3社が目安ですがヒアリング先によって内容がチグハグであったりした場合は増やしてもいいかもしれません。あなたが【満室で経営するイメージが出来る】のであればヒアリング先の件数は重要ではありませんので。
ヒアリング項目
では、具体的にヒアリング項目の一例を挙げていきます。
家賃相場
検討物件の間取り、築年数からおおよその家賃相場を確認します。空室の理由の大半はこの家賃設定です。間取りだけではなく設備や物件のグレードなどに家賃相場は変わります。基準は現入居者の家賃でよいと思います。その賃料で募集を続けた場合、入居者が入るのかどうかの意見を聞きだしましょう。
競合物件
前述のとおり、検討物件だけではなく、同じような間取りの入居希望者を取り合う競合物件が存在します。その競合物件の募集条件は?募集賃料は?稼働状況は?設備は?などを確認し差別化するには賃料か、募集条件か、設備投資か等どうすればよいのかをイメージしましょう。
求められる設備
例えば移動手段が電車ではなくもっぱら車という車社会のエリアというのは以外に多いです。そういったエリアであれば敷地内駐車場というのははずせない設備です。
そういった賃貸募集に必要不可欠な設備が物件に備わっているか?もし備わっていなかった場合、代替案は無いか?導入することは可能か?などを確認します。
広告料相場
賃貸物件の客付け業者には紹介する順番が存在します。
自社管理物件≧広告料が多い物件>成約しやすい物件>その他
です。
客付け業者も仕事です。自社もしくは自身にメリットのある仕事から取り掛かることは至極当たり前のことです。
広告料を相場より少し多く出すことは他物件の差別化に大いに貢献します。
管理費・管理内容
管理費は言うまでも無くランニングコストですのでCFに直結してくる項目です。しっかり確認しましょう。おおよそ家賃収入の5%前後+消費税が一般的ではありますがこれもエリア相場というモノが存在します。
また、単純に管理費が高い・低いで判断できないものもあります。管理費の中に日常清掃が含まれていたり、水道メーター検針がついていたりという事も考えられます。
管理料と管理内容のバランスを確認しましょう。
「満室になりますか?」の質問は無駄
ヒアリングの中で「満室になりますか?」の質問は無駄です。なぜなら「満室になります。」と自身満々に回答する客付け会社はほぼ、ありません。
それは「満室になります。」といって管理を引き受け、仮に満室にならなかった場合オーナーから文句を言われるのは目に見えているからです。
管理会社は満室経営に欠かせないパートナーですがいつでも満室にならない「言い訳」は無数に出てきます。家賃が高い、大規模な設備投資が必要、シーズンじゃない、ココまで埋まって入れば十分ですよ、他の物件はもっと空いています、、、
仮に安易に「絶対満室になります。」といってくる方が筆者は警戒してしまいます。よほど何も考えていないか、管理契約のノルマだけ達成したいのか、裏があるのではないかと勘ぐってしまいますw
「満室になりますか?」ではなく「どういった募集条件、何を改善すれば満室を目指せますか?」という質問のほうが相手も柔軟に返答しやすくなるのです。
ヒアリングを行うコツ
ココまで、ヒアリング内容を解説してきました。しかしながら残念なお知らせです。
相手は親身になって答えません。
あなたは物件について資料を確認し、いろいろと試算も行い、「いざ」という気持ちでヒアリングを行っていますがヒアリングされる客付け会社の身になって考えれば当然です。
急に電話がかかってきて「エリアがどうだ」とか「何が必要か」などいろいろ説明を求められる。しかもその相手は入居したい【お客様】でもない。
大概の場合は「すみません、今忙しいので。」といって電話を切られてしまいます。
では、どうすれば良いか。答えは簡単です。向こうにも【メリット】を提供すればよいのです。客付け会社のメリットとは、管理契約の締結です。
ヒアリングに入る前にこのように切り出してください。
「○○マンションの購入を検討しており、管理をお願いできる会社を探しています。」
大概の場合、管理に関しての電話となると店長などある程度の職位の方に電話をつないでもらえます。少なくとも電話番だけの何も分からない人ではない担当には繋いでもらえます。
あくまで、管理会社を探しています。という事を前面に押し出しつつ、上記のような項目のヒアリングを行います。向こうも近い将来オーナーとなるかもしれないあなたを無下に扱うことはありません。もし、それでも塩対応されるのであればそもそもその会社とはご縁が無かっただけの事。気にせずさっさと次のヒアリング先に連絡するだけです。
まとめ
今回は検討物件のヒアリング方法を解説しました。このヒアリングはあなたが検討している物件について最終的に取り組むのかどうかを判断する最重要項目といっても過言ではありません。
不安要素や問題が一つも無い完璧な物件なんてこの世に存在しません。しかし、不動産投資は事前に不安要素の予測がつく事と調査が可能な事、そして事前に対策を練ることが出来る点がとてつもなく大きなメリットでもあります。
ヒアリングを行い、問題点が発覚し、仮にあなたでは対策が不可能であるということが分かればその物件に取り組まないという判断も自信を持って下せます。それが投資判断というものです。
このヒアリング作業はそのメリットを最大に活かす為に必要な作業です。
初めは緊張するかもしれませんがあなたの投資【目的】を達成する為ならそんな緊張も楽しむぐらいの感覚で取り組んでやりましょう!
それでは、今回はこのへんで。