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【不動産投資】積算価格って何?→解説します!&計算方法をマスターしよう!

不動産は評価方法の違いでいろいろな価格が存在します。今回はその中でも「積算価格」のお話。

 

先日の記事

【不動産投資】結局ワンルームマンションは儲かるの?→儲かりません!その考え方を解説 - 脱サラジャーニー!

でも少し触れましたが銀行の担保の目安として用いられる評価方法ですのでしっかりと解説していきたいと思います。

 

ココでは銀行が担保評価の目安とする積算価格を解説する為、厳密な税法や細かな構造による違いは省略し、簡略化しています。

 

しかし、この記事ベースでの積算評価の計算をマスターすれば積算評価に関してそこらへんにいる不動産業者と渡り合うには十分な知識となりますし、銀行と話す上でもかなりスムーズに会話が出来るはずです。

 

途中、少々複雑な計算や慣れない概念がでてくるかもしれませんが ココでマスターすれば今後はなんとなく「きれいな建物だなー」や「このエリアはいいな。」といった漠然とした印象ではなく数字で資産性の目安が分かりますのでがんばってマスターしましょう!!

 

 

評価方法の種類とそれぞれの価格

評価方法は主に3つです。

  • 原価法
  • 収益還元法
  • 取引事例比較法

それぞれ評価方法のざっくりとした見方は

【原価法】

建物の再調達価格から築年数分価値が下がっているという考え方。この原価法で算出される価格が今回のテーマである「積算価格」です。

 

【収益還元法】

その不動産が将来にわたって生み出す収益を加味し現在に置き換える評価方法。この評価方法で算出した価格を「収益価格」といいます。

言葉にすると小難しいですがようは「この物件は年間100万円生み出すから1,000万円で利回り10%になるから妥当でしょ」っていう感覚でOKです。

※厳密な意味合いは違いますが不動産鑑定士を目指す訳では無いので感覚として捉えてもらえればと思います。

 

【取引事例比較法】

近隣の取引事例と比較してどんなもんか。といった評価方法。この見方で出される価格は「比準価格」と呼ばれます。

 

積算価格の扱われ方

いろんな評価方法があり、それぞれから算出される異なった価格が存在しますが今回、特に「積算価格」を取り上げたのはこの「積算価格」が銀行の評価に影響を与える為です。

 

では、銀行はどの様に「積算価格」を扱うのでしょうか。

冒頭に紹介した記事で解説のとおり、銀行が融資を審査する際には「返済能力」と「担保」を見ます。この積算価格は「担保」の目安として取り扱う銀行が多いのです。

 

担保とは万が一、返済が出来なくなった際に銀行が強制力を持って不動産を処分(売却)させ、融資残高を回収することが可能かということ。

 

金融機関によって担保の見方は異なりますがよく聞くのは

積算価格×掛け目(70%~100%)=担保力

このあたりの水準です。

 

積算価格を計算してみよう!~土地編~

それでは、実際に積算価格を計算して見ましょう。

まずは土地。コレは簡単です。式だけ先に書いちゃうと

 

対象面積(㎡)×路線価(円/㎡)=土地価格

です。

 

路線価というのは1㎡あたりの金額です。

この金額は何を基準に出しているかというと【道路】です。

 

あまり感覚が沸かないかも知れませんが道路ごとに路線価が決められており、その道路に面している土地の価格はこの路線価によって決定します。

 

路線価は誰でも簡単に調べることが出来ます。

 

①以下のサイトにアクセス

全国地価マップ | トップ

 登録不要、単に調べたい箇所の路線価が見れる便利なサイトです。

 

②<固定資産税路線価等>をクリック

全国地価マップ1

 

③同意するをクリック(完全に間違いをなくすのは困難なんで参考程度にねって言う注意書きが書かれています。)

 

④住所・住所一覧・地図からのいずれかの方法から検索

例として国会議事堂の住所を入れてみました。

全国地価マップ2

⑤地価マップが別ウィンドウで出てきます。

 

⑥青い矢印をクリックすると詳細が左に表示されます。

全国地価マップ3

 

1㎡あたり461万円というのがわかりました。

 

仮にこの国会議事堂前のとおりに面した 100㎡の土地があったとした・・・

100㎡(対象面積)×461万円=46,100万円 つまり4億6,100万円....ガク((( ;゚Д゚)))ブル

 

すみません、路線価が高すぎる場所をチョイスしてしまいあまり良い例ではなかったですね。でもイメージははお分かり頂けたかと思います。

全国地価マップで是非、ご自身の自宅などで調べてみてください。

 

ご自宅等で調べられた方の中で「青い矢印ないやん!?」ってなった方もおられると思います。

そう、全ての道に路線価が設定されているわけではありません。そういった路線価が無い道に面した土地の評価はどうするのか?コレはまた別記事で解説予定ですので少々お待ちください。(〃゚д゚;A アセアセ・・・

 

さらに角地や複数面が道路に面している土地の場合もありますね。そういった場合は面している路線価の中で1番高い路線価を採用し計算します。

 

積算価格を計算してみよう!~建物編~

では、次に建物について解説します。

土地に比べ、建物の積算評価は少々小難しいです。

まずは下の表をご覧ください。

 

再調達価格表

 

これは再調達価格を建物構造別に記載した表です。
例えば鉄筋コンクリート造の建物だったら、1㎡あたり20万円の価値があるね。っていう事で捉えてもらってOKです。

 

さらに次の表を見ていきましょう。

法定耐用年数表

 

新しい言葉が出てきました。「法定耐用年数」これは何かといいますと簡単に表現すると「法律上の寿命」です。

モノって年数が経過するとボロくなりますよね。

それを法律の世界では「価値が減る」と見ます。

 

例えば10万円でパソコンを購入したとします。購入時点ではこのパソコンには10万円の価値があります。パソコンの法定耐用年数が4年ですので(サーバーではないパソコン)購入から1年後、1/4の価値が減少しその価値は7.5万円になります。そして4年後その価値は0円となります。(この減少した価値分を経費として計上することを減価償却といいます。)

 

建物でも同じです。鉄筋コンクリート造(RC造)であれば47年かけて価値が減少し続けます。(あくまで法律上の話ですので47年後に建物が倒壊するわけではありませんw)

 

また、47年後に価値が0となるというよりは上にあげた減価償却として経費計上が出来なくなるという意味合いです。(固定資産税は耐用年数を超えている建物にも課税されますので価値がなくなっている訳ではありませんね。)

 

では、この「再調達価格」と「法定耐用年数」の概念から建物の積算価格を計算してみましょう!

式としてはこうなります。

再調達価格×述べ床面積*1×(法定耐用年数-築年数)÷法定耐用年数=建物価格

 

では実際に数値をあてはめていきましょう。

例:延べ床面積が600㎡の築15年、RC造の建物の場合。

20万円×600㎡×(47年-15年)÷47年=8,170万円  となります。

 

式が分かってしまえば簡単ですね。ただこの計算の根拠を理解しているかどうかで不動産業者に「知っている人だな。」って思わせるのは牽制になりますし、ご自信が融資を利用できるかどうかの目安も資料だけで判断できますので知っておいて損はないと思います。

 

また、計算自体が面倒な場合はエクセルであらかじめ式を入力しておけば後は再調達価格・延べ床面積・法定耐用年数だけ入力し計算させることも出来ますね。

 

積算価格を計算してみよう!~全体編~

はい、お察しのとおりで

土地価格+建物価格=積算価格

となりますw

 

まとめ

ココまでお読みいただきありがとうございます。今回は積算価格についての解説とご自身で積算価格が算出できるようになる為の記事を書いてきました。しかし残念なお知らせがあります。

 

この積算価格は冒頭でお伝えしたとおり銀行が「担保力」の目安として用いる価格です。言い方を変えればいろいろな評価方法がある中の1つの目安でしかありません。

 

売買価格が積算価格を上回っている場合、一般的には資産性が高い。とか売却しやすいとか言われて好まれます。しかし、それはあなたの投資目的に沿っていますでしょうか?

 

一般的に積算価格が売買価格を上回っている物件は土地が広い、RC造の築浅物件なのに価格が安いという特徴があります。それはすなわち、賃貸需要が見込めないエリア等の理由で売れ残っている物件。と言い換えることも出来ます。

 

もし、あなたの不動産投資の目的が「賃料収入」であるならば上記のような物件は資産性が高いだけの何も収益を生み出すことが出来ない(さらに評価が高いので税金だけ高い)物件となってしまいます。あなたの不動産投資をする目的は何ですか?

 

投資はある一面だけを盲目的に信じ、判断を行うと思考停止に陥り本来の目的からそれてしまうことが多々あります。

 

積算価格はあくまで資産性の目安の一つ。あなたの不動産投資の目的を果たす物件かどうかを判断の優先順位1位としていろんな面からの総合判断が出来るよう幅広い知識を身につけましょう。

 

本ブログではそういった総合的な判断が出来るための知識を解説しながら不動産投資だけにとどまらず、いろいろな資産運用を私自身も実行し情報提供をしていきます。

 

それでは、今回はこのへんで。

*1:述べ床面積とは建物の各階面積の合計面積