今回は【買付証明書(カイツケショウメイショ)】についての解説です。
そもそも買付証明書って何?っていう所から普段の会話では聞き慣れない用語の説明をしていきます。
買付証明書を理解し、気負うことなく適切な使い方で是非、収益物件の取得に活用いただきたいと思います。
買付証明書って何?
そもそも買付証明書って何?って言うお話から。
簡単にいうと
- どの不動産を
- どういった条件で
- いくらで
- 購入する意思があります。
という事を書面で示すものです。
あくまで、意思表示です。買付証明書を出したからといって売買契約のように法的拘束力があるわけではございません。買付を出した後に撤回することは問題ないですがご自身と業者さんとの信頼関係に影響します。どの段階でどういった内容の買い付けを出すかは事前にご自身のルールを決めておくとよいでしょう。
売主はこの買付の内容を確認し、どの買付に売却するのかを判断します。
買付証明を見て、売却の意思を示す書面としては【売渡承諾書(ウリワタシショウダクショ)】という書面があります。
買付証明のフォーマット
意思表示ですので決まったフォーマットはありません。不動産の特定、価格、条件が記載されていれば事足りますのでどのフォーマットを使ってもOKです。
インターネットで<買付証明 雛形>や<買付証明 フォーマット>などで検索すれば無料でダウンロードできるページが多数出てきます。
内容を見ていこう
ではココからは実際にどういった内容を記載すればよいのか確認していきましょう。
不動産の特定
まずは不動産の特定です。収益物件の検討の際に資料を取り寄せていると思います。
※取り寄せる資料を下記の記事で解説しています。
datusara-journey.hatenablog.com
不動産の特定にはこの中の「謄本」を使います。
不動産は「土地」「建物」を明確に分けて考えますのでそれぞれを特定しなければなりません。
<土地>
住所では特定できません。不動産は住所とは関係なく土地1つ(筆という単位)に対して地番というものが割り振られています。例えば1つの建物に土地が3筆あるなんて場合もありますし土地1筆の中に建物が2つ建っているなんてこともあります。
この売買はどの土地が対象となるかというのは対象土地の謄本を見ます。
謄本に記載されている【所在欄】に地番が記載されていますので所在欄に記載されているとおりにそのまま買付にも記載すればOKです。
また、謄本に【地籍】という欄があります。広さですね。この地籍も買付に記載しましょう。
<建物>
土地と同じく、建物にも1つ1つ番号が振られています。建物の場合、家屋番号といわれる番号を用います。土地と同様に謄本の【所在】と【家屋番号】をそのまま買付に記載すればOKです。
また、建物の場合は【所在】と【家屋番号】のほかに【種類】【構造】【床面積】を記載します。いずれも謄本にそれぞれ記載されていますので書き写すだけでOKです。
条件
続きまして、どういった条件で、といったところを見ていきましょう。
<価格>
これはご希望の価格を記入します。特段の注意はないのですが一般的にこの価格は税込価格を記載し(税込)と記載しておきます。
また、価格の前に『金』や『¥』マークを入れることもお忘れなく。
<契約予定日>
既に契約日の調整も済んでいるのなら記載してもいいとは思いますが買付提出段階で契約日まで予定が立っていることは少ないと思います。
『条件が整い次第』や『別途相談』などを記載しておけばOKです。
<条件>
- 公募取引or実測取引・・・公募取引とは謄本に記載されている内容で取引しますよ。という意味です。例えば土地の面積が謄本に記載されている面積と実際に測量した面積に相違がある場合も多いのですが、あくまで謄本に記載されている面積、内容のものを売買する処理を行うという意味です。厳密に言えば不動産価格の土地・建物の比率が若干変わったり、固定資産税にも若干の影響は出ますがあまり気にせず「公募取引なんだな」と認識していればOKです。これは紹介を受ける段階で【物件概要書】に記載されていることが多いのでその内容を記載しましょう。
- 境界明示or非明示・・・境界というのは土地と土地の境界線のことです。「ココからココまでが売買対象土地ですよ。」と境界を明示してもらうことを希望するなら『境界明示』と記載しましょう。現地で業者さんから説明を受けたり、書類でもって境界の説明を受けたりします。物件にとっては境界の確定に隣地の方との確認等が必要になり、境界の明示が対応できない物件というのも多々あります。
- 瑕疵担保責任有りor免責・・・カシタンポセキニンと読みます。瑕疵の説明はとても難解なのですが簡単にいうと「パッと見では分からない建物の構造上の不具合」のことです。(例:シロアリ被害を受けている等)難解な点としては経年劣化は瑕疵に該当しない為、瑕疵なのか経年劣化なのかが頻繁に争われています。また、瑕疵担保責任有りか免責かは買主の希望で調整できるモノでもありません。宅建行法上、宅建免許を持っている宅建業者が売主となり、宅建免許を持っていない一般個人に不動産を販売する場合には中古物件で2年、新築物件で10年の瑕疵担保責任を負わなければならない義務があります。売主が一般個人、買主も一般個人の場合、この瑕疵担保責任の義務がありませんので基本的には免責となってしまいます。
- 融資特約有or無・・・融資特約とは「物件を購入するときに融資を利用し、融資の承認を取ることが出来なければ売買契約を白紙解約できる」という特約のことです。この特約を入れる場合『有り』、入れない場合『無し』となります。融資特約は『無し』のほうが売主の立場では売買契約を締結できれば確実に売れるので好まれます。しかしながら融資を利用するのであれば『有り』にしておかないと融資の承認が取れず、支払いを行わないと債務不履行となり違約金を請求されますのでよほどのことが無い限り『有り』でよいかと思います。
その他の条件
下記の文言は定型の文言として『その他』のような欄を作成し記載しおきましょう。
- 当該物件に関して依頼する資料を確認させていただきます。
- 賃貸借契約書、直近レントロール内容及び、滞納が無い事の確認をさせて頂きます。
- 隣地第三者官民との間で紛争、訴訟の無い事を確認させて頂きます。
- 反社会的入居者が無い事を確認させて頂きます。
- 詳細に付きましては、協議の上での決定とさせて頂きます。
まぁ、売買契約を締結する前に確認しておく最低限の内容です。
署名・捺印
書面の末尾にあなたの名前と印鑑(認印でOKです)を押印し提出します。
まとめ
いかがだったでしょうか。買付証明書は意思表示ですのでそんなに気負わず、しかしながら要点は押さえておかないとトラブルの原因にもなります。
また、優良物件には買付が殺到する場合もあります。価格だけではなく、融資特約等の条件によっては買付の順位を上げてあなたに売渡承諾が来るように有利に進める武器としても活用できます。
事前にあなたの条件を決めておき、買付のフォーマットを作成しておけばスムーズに提出できますのでこの記事を参考に是非、作成してみてください。
それでは、今回はこのへんで。